夢を見ていた。
燃えさかる家の中で、アルムは倒れている。
目の前ではほんの数分前まで母だったモノが炭になろうとしていた。
彼女はアルムを庇って家の下敷きになったのだ。
アルムは母だったモノが燃えるのをただじっと眺めていた。そうしなければ自分も今すぐに燃えてしまいそうな気がした。
実際彼の背中は半ば燃えていたのだけど。
しばらくして助けが来て、引きずりだされて見た空は目にしみるほど青くて、大蛇がのた打ち回っていた。
あれがここをこんなふうにしたのだと誰かに耳打ちされた。
アルムは助かったけれども、その背中には大きな引きつれたあとが残った。
あの時の蛇みたいだ。
アルムはそう思った。
きっと母が死に行く様を何もせずただじっと見つめていた罰なんだ。
彼はそう思った。
そうしなければ自分は狂ってしまいそうだったから。
そして、護衛する事になった、少女を…
息苦しさに、アルムは眼を覚ました。自分の腕が自身をしっかりと抱きしめていることに気付く。
朝はまだ遠かった。
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